2025/09/09 23:10
1. 制度の目的と背景
ストレスチェック制度は、労働者の心理的負担を定期的に評価し、メンタルヘルス不調を予防し、職場環境を改善することを目的としています。
2015年12月の労働安全衛生法改正により、従業員50人以上の事業場では実施が義務付けられましたが、50人未満の事業場では努力義務に留まっていました。その結果、実施率は伸び悩み、2023年の労働安全衛生調査では34.6%にとどまっています。
こうした状況を受け、厚生労働省の「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」は、2024年11月に中間取りまとめを発表し、50人未満の小規模事業場にも実施義務を拡大すべきと提言しました。
2. 法律改正の動き
2025年3月14日、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、同年5月8日に国会で可決・成立しました。これにより、小規模事業場でもストレスチェックが義務化されることが確定しました。
法律改正の概要(抜粋)

3. 施行時期とスケジュール
改正法案では、施行期日は「公布の日から3年以内に政令で定める日」とされています。
つまり、遅くとも2028年4月1日までには義務化が始まる見込みです。
中小企業は今後の具体的なスケジュールを確認しつつ、段階的に準備を進めることが求められます。
4. 中小企業に求められる準備
これまで制度に対応してこなかった中小企業では、「何から始めれば良いのか分からない」という声が少なくありません。準備のステップとしては以下が考えられます。
①正確な情報収集
厚生労働省や地域産業保健センターの情報を定期的にチェックする。
②無料で利用できる支援の活用
産業保健総合支援センターや地域産業保健センターを通じて、産業医や保健師によるサポートを受ける。
③実施体制の整備
誰がストレスチェックを実施し、どのように結果を活用するかを社内で決めておく。
④職場環境改善へのつなげ方を検討
単なる「検査」ではなく、集団分析を踏まえて業務量や人間関係の改善に反映させることが重要。
5. 中小企業が直面する課題
・人員不足により、産業医や保健スタッフを確保できない。
・コスト面の負担が大きい。
・「ストレスチェックをやれば十分」という形式的な実施にとどまるリスクがある。
これらの課題に対応するため、国や自治体は支援体制を拡充していく方針です。
6. 今後の展望と企業へのメッセージ
ストレスチェックの義務化は、単に「負担が増える」ものではなく、社員の健康と組織の持続的成長を守る仕組みでもあります。
制度をきっかけに、職場の課題を可視化し、労働環境を改善することは、離職防止・生産性向上・企業の信頼性強化につながります。
情報収集や準備を早めに始め、地域産業保健センターや専門家と連携しながら、「義務」ではなく「チャンス」として制度を取り入れることが、中小企業にとっての成功の鍵となります。
「どのように準備したら良いのか?」「準備はいつから始めれば良いのか?」などご質問がございましたら、いつでもご連絡ください。