2025/05/28 11:18

心理的安全性という言葉を聞いたことがありますか?人事に関わっている人は見聞きする機会が増えてきていると感じているのではないでしょうか。

では、心理的安全性とは何でしょうか?言葉のイメージで想像するのは「安心できる職場」「何でも安心して言うことができる職場」「仲の良い職場」でしょうか?どれも合っているようでちょっと違います。

 

チームにおける心理的安全性とは

 心理的安全性とはどのようなものでしょうか。そもそもこの言葉は「psychological safety」の日本語訳です。この概念はハーバード・ビジネス・スクールのエイミー C.エドモンドソンが発表した論文(1999年)をもとに、日本では『チームが機能するとはどういうことか』(野津智子訳、英治出版2014年)でこの重要性についてを、記しています。

  ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー C.エドモンドソンは心理的安全性のあるチームをこのように表現しています。 

このチームでは素直に自分の意見を伝えても対人関係を悪くさせるような心配はしなくても良いという信念が共有されている状態を意味する。この信念は、メンバー個人としても、チーム全体としてもいちいち注意を払わずに、共有されていることがほとんどである。

 エイミー C.エドモンドソン / ハーバード・ビジネス・スクール

 これは単に仲良しグループでアットホームというものではなく、時には耳痛い事でも素直に安心して発言でき、その言った事に対してチームメンバーが悪く思ったり疎ましく思ったりしない、ましてや上司は自分の意にそわない発言だったとしても本人の評価を下げることなどもないチームということです。簡単なようで実はとても難しいですよね。

 

Google研究チームが4年間社内調査を行い出した結論

 なぜこの心理的安全性が最近話題となるのかというと、Google研究チームが4年間社内調査を行い出した結論として、心理的安全性の高いチームは、離職率が低く、他のメンバーが提案した多様なアイデアの活用がうまく、マネージャーから評価される機会が約2倍であることが分かりました。また、収益性も高いことがはっきりしました。そのため、会社の生産性を高めるためには心理的安全性が必要であると言われ始めているのです。

 

心理的安全性を阻害する対人不安

生産性を高くするためには心理的安全性が必要という事はわかっていても、そういうチームを作るのは実は簡単ではありません。なぜならば、人は誰しも「無知だと思われなくない」「無能だと思われたくない」「疎ましい奴だと嫌われたくない」「反対意見ばかり言う奴だと思われたくない」など、人から見られる目が気になる人が多いからです。これは対人関係での不安心理が働くからです。このような心理があると、どうしても本音の部分を言えなくなります。特に日本では以前「KY(空気読めない)」という言葉がはやったように、やはりその場の雰囲気を壊したくないという気持ちが強く働くのではないでしょうか?しかし心理的安全性がない職場ほど、ミスに気づきながらも黙認をしてしまったり、明らかなミスを発見したとしても言えないなど、会社としてリスクが大きくなります。

 

心理的安全性が担保される職場づくりに必要なポイント

 では心理的安全性がある職場には何が必要でしょうか?これについてはチームごとに異なってきますが日頃からのコミュニケーションがとても大切。そのためには基本的な事から見直してみることです。例えば自分から挨拶する、声を掛け合う、ミーティング時には全員必ず発言するなど、そのチームで何が欠けているのか?どうしたらもっとコミュニケーションや心理的安全性を良くすることができるのか?というのを話し合う必要があります。ただ間違えてはいけないのは「心理的安全性を作ることを目的化しない」ということ。心理的安全性を担保するのはあくまでも、生産性を上げたりチーム目標を達成させるための必要なツールのひとつ。その点をはき違えないようにすることも大切です。

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